手のしびれから始まって、夜勤ができなくなり、慣れない部署へ異動になりました。
「夜勤を免除してもらったら、その後どうなるんだろう」
体を壊して、そう考えている看護師さんもいると思います。私自身がまさにその立場になったので、実際に何が起きたのかを書いておきます。
結論から言うと、異動になりました
診断書を出して夜勤を免除してもらった2か月後、私は病棟から医療連携室へ異動になりました。
慣れない仕事がしんどくて、転職エージェントにも相談しました。でも結局、転職はしていません。提示された求人が、今よりかなり条件の下がるものばかりだったからです。
そのとき相談したエージェントの担当者に言われた言葉が、今も残っています。
「思い留まるのも一つだよ」
転職させた方が自分の成績になるはずの人が、そう言ってくれました。その話は後半に書きます。
手のしびれ。脳を疑って、頸椎だった
最初の症状は、手のしびれでした。
看護師なので、まず脳を疑いました。脳のMRIを撮りましたが、異常はありません。それなら頸椎かもしれないと撮り直したところ、頸椎症と診断されました。2年前のことです。
当時は救急外来の夜勤に入っていました。夜勤帯は人が少ないので、ストレッチャーを一人で押すこともあります。
「重いものは持たない方がいい」
そう言われても、現場ではそうもいきません。目の前に患者さんがいるのに、私はできませんとは言えませんでした。
そうやって2年ほど働き続けました。
そのまま働き続けているうちに、しびれはひどくなっていきました。
アラ還になると、体のあちこちに小さな不具合が出てきます。
▶ 寝返りでグルグル…耳鼻科で診断された良性発作性頭位めまい症
「このままだと手術になるよ」と言われました
もう一度MRIを撮ったとき、医師からはっきり言われました。
「このままだと、そのうち手術しないといけなくなるよ」
今すぐという話ではありません。でも、この状態を続ければそうなる。首の前からアプローチする手術になると、術式まで具体的に説明されました。
ストレートネックにもなっていました。うつむいた姿勢を長時間続けるのが良くないのだそうです。
とはいえ、ずっと上を向いている仕事なんてありません。だから避けるべきことを具体的に挙げてもらいました。
- 重いものを持つ
- 患者さんの移動で力を入れる
- 採血などでうつむいた姿勢を続ける
そして夜勤についても言われました。夜勤帯は人が少ないので、重いものを誰かに頼むことができません。ストレッチャーも一人で押すことになります。
「夜勤は難しいんじゃないかな」
手術と聞いても、怖いとは思いませんでした。まだ先の話だと感じていたからです。
それより心配だったのは、仕事を続けられるかどうかでした。
夜勤免除は、診断書を出して申請しました
手術を避けるには、働き方を変えるしかありません。
医師からも「診断書を出した方がいい」と言われました。
正直なところ、自分の口から「夜勤を外してください」とは言いにくいものです。人手が足りていないことは自分がいちばん分かっています。夜勤を外れれば、その分を誰かが背負うことになります。
でも診断書という形にすれば、自分の希望ではなく医師の判断として伝わります。お願いではなく、事実として扱ってもらえます。
昨年の12月から、夜勤が免除になりました。
2か月後、異動を告げられました
実は、心のどこかで分かってはいました。
その1年前に、腰を痛めて診断書を出した人がいたからです。その人は診断書を出した2週間後に、病棟の事務仕事へ異動になりました。
だから可能性はあると思っていました。でも1か月経っても、2か月近く経っても何も言われません。
定年も近いし、このままいけるのかな。そう思い始めた頃でした。
今年の2月、医療連携室への異動を告げられました。
直属の上司は、こう言ってくれました。
「私が推薦したの。お願い、頑張ってくれる?」
ありがたい言葉です。でも1年前の腰痛の人のときも、同じように「推薦した」と言っていました。
ああ、来た来た。
そう思うと同時に、こうも思いました。
やっぱり夜勤しないと、ここにはいられないんだな。
推薦してもらったことは嬉しい。でも、体が動かなくなったから移されるのだという事実も、同時にそこにありました。複雑な気持ちでした。
未知の世界で、図書館に通いました
医療連携室は、私にとって未知の世界でした。
書類やカルテの扱いも、触ったことのない部分ばかり。逆紹介の判断など、今までやったことのない分野です。こういうときはどうする、ああいうときはどうすると、覚えることが山ほどありました。
そして何より、仕事の中身が変わりました。
患者さんと接することが、ほとんどありません。一日の大半が書類と電話です。外部の病院や施設との折衝も多く、これまで勉強してこなかった分野でした。
電話応対がうまくできなくて、図書館でビジネス電話のマニュアル本を借りて読みました。57歳になって、電話の受け方を本で勉強することになるとは思いませんでした。
年齢的にも、新しいことを覚えるのは正直きつかったです。
向いていないのかもしれない。異動から1か月ほど経った頃、そう思うようになりました。
夜勤がなくなると、収入はどのくらい減るか
ここは気になる方も多いと思うので、正直に書きます。
私の場合、夜勤がなくなって月に3〜4万円ほど減りました。
年間にすると40万円以上です。決して小さくない額ですが、体を壊してまで続けられるものでもありません。
夜勤手当は、思っている以上に大きいのだと実感しました。
転職エージェントに登録してみました
今の仕事が向いていないと感じたこと。体のこと。この先どうするか。
ひとりで考えていても答えが出ないので、転職エージェントに登録してみることにしました。2社に登録しました。
ここで分かったことがあります。
最初の面談だけでは、良し悪しは分かりません。
登録した初日、状況を聞いてもらう段階では、2社とも本当に丁寧でした。頸椎のこと、夜勤ができないこと、異動になったこと。どちらの担当者もきちんと聞いてくれて、大変でしたねと言ってくれました。
差が出たのは、そのあとです。具体的な条件を出していく段階から、対応がはっきり分かれました。
「今週の土曜日、いかがですか」

1社目は、とにかく面接に進めようとしました。
私が土日休みだと伝えると、その3〜4日後の土曜日を提示してきました。
「この日、面接に行けませんか」
え、と思いました。まだ何も決めていないのに、もう面接の日程です。
休みの日を伝えたのは、連絡が取りやすい時間を知ってもらうためでした。それが最短の面接日として使われるとは思っていませんでした。
この人は私の話を聞いてくれているのではなく、次のステップに進めたいだけなんだな。そう感じてしまうと、もう相談する気持ちにはなれませんでした。
担当者による部分も大きいと思うので、会社名は書きません。ただ、こういうことは実際に起こります。
「思い留まるのも一つだよ」

もう1社は、看護roo!でした。
こちらの担当者は、条件の話になってからの方が丁寧でした。
夜勤ができないこと、重いものが持てないこと。それを踏まえて、訪問看護など体への負担が少ない働き方も提案してくれました。
そのうえで、給与の話になりました。
提示された求人は、いちばん条件が良いものでも今よりかなり下がる内容でした。
夜勤がなくなって、すでに月3〜4万減っています。そこからさらに基本給まで下がることになります。
長く同じ病院に勤めていると、その分だけ給与も上がっています。それを手放して外に出るということは、単なる転職ではなく積み上げをゼロに戻すことでもありました。
そのとき、担当者はこう言いました。
「条件だけで見ると、今のところの方がいいと思いますよ。思い留まるのも一つだよ」
驚きました。
転職エージェントは、転職が決まってはじめて報酬が入る仕組みです。私が今の職場に残れば、この人の成績にはなりません。
それなのに、残った方がいいと言ってくれました。
この一言で、もう少し頑張ってみようという気持ちになりました。
結局、面接には行きませんでした
「また状況が変わったら、こちらからお願いします」
そう伝えて、いったん終了にしました。
担当者は「そのときは私の名前を言ってくださればいいですからね」と言ってくれました。
そしてその後、追いかけるような電話は一度も来ていません。アプリからのお知らせは届きますが、それだけです。
この距離感が、私にはありがたかったです。
今、医療連携室にいます
あれから半年ほど経ちました。
異動したときは、退職する人と1か月だけ重なって引き継ぎを受けました。当時は転院相談を看護師2人で担当していましたが、その後に来た人は他の部署と兼任です。
つまり今、転院相談は実質ひとりで回しています。
相変わらず書類と電話の毎日です。患者さんのベッドサイドに立つことは、ほとんどありません。
それでも、少しずつ分かってきたこともあります。転院の相談を受けて、ご家族の不安を聞いて、次の病院につなぐ。これも患者さんに関わる仕事なのだと、最近は思えるようになりました。
ちなみに私は今、認知症の父の介護もしながら働いています。
▶ 認知症の父との在宅介護|困りごと別・記事まとめ
夜勤ができなくなった看護師さんへ
体を壊して夜勤ができなくなると、多くの場合、今までと同じ場所にはいられなくなります。私の職場では、そうでした。
それは寂しいことですが、体を守ることの方が大事です。無理を続けて悪化させたら、看護師を続けることすらできなくなります。
私が経験して、伝えておきたいことが3つあります。
言いにくいなら、診断書という形にする
自分から「夜勤を外してほしい」と言うのは、本当に言いにくいものです。医師の判断として伝えれば、お願いではなく事実として扱われます。
収入は下がる。その覚悟はいる
夜勤手当がなくなる影響は大きいです。私の場合は月3〜4万円でした。事前に計算しておくと、心の準備ができます。
転職しなくても、相談してみる価値はある
私は結局、転職しませんでした。でも相談したことで、外の相場が分かり、今の職場の条件が見えました。
ひとりで悩んでいたときは、辞めるか続けるかの2択に見えていました。でも実際には、働き方にはもっと幅がありました。それを知れただけでも、相談した意味はあったと思っています。
今すぐ辞めるつもりがなくても、話を聞いてみるだけで見える景色は変わります。
そして、もし相談してみて「この人は私の話を聞いてくれていないな」と感じたら、そこで止めていいのだと思います。合わない担当者に急かされて決めることほど、こわいことはありません。
私は、思い留まる方を選びました。それも一つの答えでした。
看護師自身の体のことも、いくつか書いています。
▶ 足のむくみと弾性ストッキング(元コンダクターの看護師が解説)

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