看護師の私も「老人の病気」だと思っていた――骨粗しょう症と、チロンと、足の指

💉 看護師の日常

看護師歴30年以上。骨粗しょう症の患者さんを何人も見てきた。

それでも、自分がそちら側になるとは、つい最近まで思っていなかった。


きっかけは、16歳の老犬・チロンだった

うちには、もうすぐ17歳になるトイプードルのチロン(女の子)がいる。脊髄梗塞を経験して、後ろ足が不自由になった。今も毎日、倒れそうになりながら懸命に歩いている。

その日も、よろけたチロンを支えようとして、とっさに動いた。でも間に合わなかった。チロンはそのままぐしゃっと倒れ込んだ。

チロンはしょっちゅうこういうことがあるから、本人は慣れたもの。でも私としては、お尻を打っているのを見るたびに、せめて自分がいるときは助けてあげたいと思ってしまう。

そのとっさの動きで、食卓セットの椅子の足に自分の足の指を強打した。チロンは無事、私が骨折、という結果になりました(笑)。

痛みがなかなか引かないので受診したら、骨折していた。

「せっかくだから、骨密度も測っておきましょう」

そう言われて測ってみると、平均より低かった。

「一応、内服を始めましょう」

正直、少し動揺した。チロンを助けようとしただけなのに。でも、骨折は骨密度のせいではない。あの強さでぶつければ、細い骨は誰だって折れる。ただ、測ってみたら数値が低かった、というだけの話だ。それでも、なんとなく複雑な気持ちだった。


職場で、ぽつりと言ってみた

先日、職場でちょっとした会話があった。患者さんの情報を確認していた男性スタッフが、カルテを見て言った。

「50代でも骨粗しょう症の薬、飲んでるんですね」

思わず口から出た。

「私も飲んでるよ」

少し驚いた顔をされた。そりゃそうか、と思いながら、でも笑えなかった。つい最近まで、私自身も「骨粗しょう症は高齢者の病気」だと思っていたから。


閉経後に骨密度が下がる、は「知識」だった

教科書にも書いてある。授業でも習った。

閉経後、女性ホルモンのエストロゲンが減ることで骨密度が急激に低下する。だから閉経後の女性は骨粗しょう症のリスクが高い。

分かっていた。でも、自分のこととして考えたことがなかった。

転倒しかけて、骨折して、骨密度を測って、初めてリアルになった。知識と実感は、全然別物だ。


アラ還女性に、伝えたいこと

骨粗しょう症は老人の病気じゃない。閉経後の女性なら、50代でも普通に起こる。

やっかいなのは、症状がないこと。骨密度が下がっていても、痛くもかゆくもない。転んで骨折して、「ついでに」測って、初めて分かることが多い。私みたいに。

健康診断で骨密度の検査ができる場合は、ぜひ受けてみてほしい。婦人科や整形外科でも測れる。「まだ若いから大丈夫」と思っているうちに、じわじわ下がっていることがある。

看護師目線で言うと、骨密度を保つためには食事と運動が大切です。カルシウムだけでなく、吸収を助けるビタミンDも一緒に取ること。日光に当たることでもビタミンDは作られます。そして無理のない範囲でウォーキングなどの荷重運動を続けること。薬を飲み始めたからといって安心せず、生活習慣の見直しも大事だと改めて実感しています。


「私も飲んでるよ」と言えてよかった

あの男性スタッフの驚いた顔は、たぶん私が以前持っていた感覚と同じだ。

50代で骨粗しょう症の薬、というのが意外だった、ということ。

その驚きを少しでも減らせたら、この記事を書いた意味があると思っている。

女性は閉経後、骨のことをちゃんと気にかけてほしい。ちょっとしたはずみで骨折する前に。私みたいになる前に——チロンを助けようとしただけなのに、な、と思いながら(笑)

チロンは今日も元気に、よたよたと歩いています。ぐしゃっと倒れても、けろっとしているチロンに、今日も助けられています。

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