認知症介護で心がすり減った日。認知症外来の先生に教わった大切なこと

介護

介護をしていると、「今日は疲れたな…」と心から思う日があります。

体が疲れるだけではありません。

家族だからこそ言えない気持ちや、「悪気はない」と分かっていても飲み込んでしまう気持ちが積み重なり、心までクタクタになる日があります。

今日は、まさにそんな一日でした。

でも、その日の終わりに、認知症を診てくださっている先生の言葉が、少しだけ私の心を軽くしてくれました。

教わったのは、特別な薬でも訓練でもなく、「冷蔵庫のホワイトボード」を使った小さな工夫。しんどかった一日の話とあわせて、記録しておきたいと思います。

午前は父の総合病院、午後は家族3人でかかりつけへ

今日は朝から父と総合病院へ行きました。

父は90歳。

認知症で脳神経内科に通院しており、あわせて肺気腫のため呼吸器内科にも定期的に診てもらっています。

午前中はその2つの診察を終え、そのあと午後からは、父・母・私の3人で、いつものかかりつけクリニックへ向かいました。

父は90歳、母は84歳。

かかりつけでは3人とも定期的に診ていただいていて、8週に一度、一緒に受診するのが恒例になっています。

でも今日は、朝から何となく体が重く、いつも以上に疲れを感じていました。

そんな気持ちが伝わったのか、父も母も今日はいつもより口数が少なく、静かな受診になりました。

父の「怒られると思った」

夕方に予定があったので、その前に父の薬が今日の夜まであるか確認しようと実家へ寄りました。

わが家では、朝・夜の薬を日付ごとに入れられるタペストリータイプの薬入れを使っています。

私は、今日の夜の薬が残っているか確認したかっただけでした。

ところが父は、私が薬を見た瞬間、

「ちゃんとやってるから、もういい!」

と急に怒り出しました。

確認すると、本来なら今日で終わるはずの薬がまだ数日分残っていました。

以前飲み忘れた分が、そのまま残っていたようです。

父はきっと、

「飲み忘れを見つけられて怒られる。」

そう思ってしまったのでしょう。

私は、

「違うよ。今日の夜の薬があるか見に来ただけだよ。」

そう説明すると、父はホッとしたように落ち着きました。

認知症になると、相手の行動を違う意味で受け取ってしまうことがあります。

頭では分かっていても、その瞬間はやっぱり驚きます。

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母のひと言にモヤモヤ…

実は来週、母は脳神経外科の受診があります。

数年前の健康診断で、脳の血管に少し狭いところが見つかり、年に一度MRIを撮って経過を診てもらっています。

MRIは先週、兄が付き添ってくれました。

来週は、その結果を私が仕事を休んで一緒に聞きに行く予定でした。

今日、母を迎えに行くと、こんなことを言いました。

「来週の診察、あんた一人で結果だけ聞いてきて。私はデイサービスに行きたいから。」

思わず私は、

「誰の受診?」

と聞き返しました。

すると母は、

「じゃあ遅れて行くわ。」

と答えました。

悪気がないことは分かっています。

でも、その瞬間に私が感じたのは、

「私が仕事を休んで付き添うのは当たり前。」

そんな空気でした。

介護をしていると、こういう何気ない一言が胸に刺さる日があります。

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悪気がないからこそ、心が疲れる

父も母も、私を困らせようと思っているわけではありません。

だからこそ、こちらも強く言えません。

でも、

「悪気がない」ことと、「傷つかない」ことは別なんですよね。

介護は、食事や通院だけではありません。

誤解を解いて安心してもらい、自分の感情も整理する。

そんな「心の介護」も、毎日続いています。

今日は正直、とても疲れました。

そんな日に、認知症外来の先生から教えていただいたこと

でも今日、父の認知症を診てくださっている先生に相談したことが、とても印象に残りました。

父は90歳ですが、足腰は本当にしっかりしています。

毎日、近所の住宅街を歩くのが日課で、自分のことはほとんど自分でできます。

私が20kgのお米を運ぼうとすると、「自分が持つ」と前へ出てくるほど元気です。

90歳とは思えないほど体は元気ですが、それでも認知症は少しずつ進んでいることを、最近は感じるようになりました。

最近は、「散歩に行ったこと」を忘れてしまうことがあります。

母によると、一日に何度も散歩へ行ってしまうことがあり、帰ってくる頃にはクタクタになっているそうです。

そのことを先生に相談すると、こんなアドバイスをいただきました。

「ホワイトボードやノートに、散歩へ出た時間、帰ってきた時間、それから『今日は疲れた』『元気だった』などを書いてみてください。健康管理にもなりますよ。」

なるほど、と目からうろこでした。

父自身も、

「今日はもう歩いたな。」

「今日は2回目だな。」

と確認できますし、家族も散歩の回数や体調を把握できます。

さらに母が、

「毎朝、冷蔵庫のホワイトボードに今日の日付と曜日を書いているんです。」

と話すと、先生は笑顔で、

「それはとても良い習慣ですね。そのホワイトボードを使えば、散歩の記録も一緒にできますよ。」

と褒めてくださいました。

認知症になると、今日が何月何日で何曜日なのか分からなくなることがあります。

毎朝、自分で日付と曜日を書くことは、時間の感覚を保つためにも良い習慣なのだそうです。

先生は、「できなくなったこと」ではなく、「今できていること」を大切にしながら生活を続ける工夫を教えてくださいました。

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「できなくなったこと」より、「できることを続ける工夫」

認知症になると、どうしても「できなくなったこと」に目が向いてしまいます。

でも先生は、

「散歩をやめましょう。」

ではなく、

「続けながら工夫しましょう。」

という考え方を教えてくださいました。

その言葉を聞いて、父だけではなく、私自身の心も少し軽くなった気がしました。

介護をしていると、イライラする日もあります。

悲しくなる日もあります。

それでも、「できること」を一緒に考えてくれる先生の存在は、本当にありがたいものです。

もし、ご家族が認知症で、「何度も散歩に行ってしまう」「行ったことを忘れてしまう」と悩まれている方がいらっしゃれば、ホワイトボードやノートで記録する方法が、少しでも参考になればうれしいです。

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そして、今、介護を頑張っている皆さんへ。

今日はうまく笑えなかった日でも、また明日は違う一日かもしれません。

介護は頑張ることも大切ですが、自分の心まで置き去りにしないことも同じくらい大切なんだと、今日は改めて感じました。

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