高齢の親の味付けが濃くなった?にんじんしりしりで気づいた両親の味覚の変化

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自慢のにんじんしりしり、実家へお裾分け

先日、近所の「旬の駅」で野菜の袋詰め放題をやっていて、つい夢中になって人参を20本近くも詰めてしまいました(笑)。さすがに食べきれないので、そのうち10本を使って、我が家の定番おかず「にんじんしりしり」を大量に作ったんです。

卵を入れて彩りもよくて、息子も息子の彼女も「これ美味しい!」とたくさん食べてくれる、私のちょっとした自慢の一品。これは実家の両親にも、と思ってお裾分けしました。

「ちょっと、味が薄かったかな……」

朝晩、出勤と帰宅のときに車から実家へ電話するのが私の日課です。その電話で「しりしり、どうやった?」と聞いてみたら、母がちょっと言いにくそうに、

「……ちょっと、味が薄かったかな」

え? うちではみんな「美味しい」って食べてるのに……。思わず「え?」と声が出てしまいました。

すると、その日の夕方の電話では、こちらから聞いてもいないのに母のほうから、

「あれ、おいしかったわ〜。お父さんなんか、ごまドレッシングかけて、おいしい言うて食べてたわ」

私の「え?」を気にして、フォローしてくれたんでしょうね。その健気さに、ちょっと胸がきゅっとなりました。……が。

待って。ごまドレ?

ちゃんと味付けしたにんじんしりしりに、ごまドレッシング⁉️

実は、父がこういうことをするのは初めてではないんです。父は認知症があって、外食に行ったときも、もう味がついている料理に醤油やドレッシングをさらにかけてしまうことが、たまにあります。だから父のごまドレは「まあ、お父さんやしな」と思えました。

私が本当に驚いたのは、そこじゃなくて——

母が、そのごまドレに何の違和感も持っていなかったことなんです。

「お父さん、変なことしてたわ」じゃなくて、「おいしい言うて食べてたわ」と、ごく普通の報告として。あの母までが、気づかない。それが一番の衝撃でした。

思い返せば、母からもらうお料理も、最近どれも結構濃い味になっています。昔はそんなことなかったのに。さらに両親は、月曜と水曜のデイサービスの日に宅配のお弁当を取っているんですが、その味も「薄い」と言うらしい。

ここまで揃うと、もう間違いない。両親ふたりとも、味覚が鈍くなってきているんやなと気づいたんです。

高齢者の味覚が鈍るのはなぜ?看護師が解説

歳をとると、舌で味を感じる「味蕾(みらい)」という部分の数が減っていきます。特に塩味を感じにくくなると言われていて、だから「味が薄い」と感じて、無意識に濃い味を求めるようになるんです。

そのほかにも、

  • 鼻の働き(嗅覚)が落ちて、風味を感じにくくなる
  • 飲んでいるお薬の影響
  • 亜鉛などの栄養不足

なども関係していると言われています。

つまり、父や母が「薄い」と感じるのは、わがままでも、私の料理の腕のせいでもなくて(笑)、体の自然な変化なんですよね。そう思ったら、ちょっと泣きそうになりました。親って、こうやって少しずつ歳をとっていくんやなぁって。

薄味でも満足できる工夫と、塩分を控えるコツ

ただ、味覚が鈍っているからといって、言われるままに濃い味にするのも考えもの。濃い味=塩分の摂りすぎは、高血圧やむくみにつながります。実はうちの父、少し前に足がパンパンにむくんで大騒ぎしたことがあったので、塩分はできるだけ控えたいところ。

なので、私は両親にこう伝えました。

「お父さんお母さんには薄く感じるかもしれんけど、これでもちゃんと味はついてるんやで。あんまり濃くせんようにな」

そのうえで、「塩を足さなくても満足できる」ように、うちではこんな工夫をしています。

①だしをしっかりきかせる

昆布やかつおでとっただしは、それだけで味に深みが出るので、塩や醤油が少なくても物足りなさを感じにくくなります。忙しい日は無理せず顆粒だしでもいいんですが、その場合は「だし入りの分、塩は控えめに」を意識しています。

②お酢やレモンの酸味を足す

酸味があると、塩気が少なくても「ぼやけた味」になりにくいんです。煮物にちょっとお酢を加えたり、焼き魚にレモンを絞ったり。さっぱりするので、食欲が落ちがちな高齢の親にも食べやすいみたいです。

③香りと薬味でアクセントをつける

生姜、ごま、大葉、みょうが——香りの強い薬味は、薄味の物足りなさをふわっと補ってくれます。父がにんじんしりしりにかけていた「ごま」も、実は理にかなった組み合わせだったんですよね(ドレッシングは多すぎでしたが・笑)。

④うま味の強い食材を使う

トマトやきのこ、玉ねぎなど、それ自体に「うま味」がある食材を使うと、調味料を足さなくても自然とおいしくなります。きのこたっぷりの炊き込みごはんなんかは、薄味でも家族に好評です。

こうした工夫は、特別な手間がかかるものではありません。「塩を減らす」と考えると味気なくなりそうですが、「だし・酸味・香り・うま味を足す」と考えると、むしろ料理が楽しくなる気がしています。

親の「歳をとる」を、食卓で知る

にんじんしりしり一つで、まさか親の味覚の変化に気づくとは思いませんでした。

「味、薄かったかな」と言いにくそうに言った母。私の「え?」を気にして「おいしかったわ」と言い直してくれた母。その優しさごと、受け止めたいなと思います。

親が歳をとるって、こういう小さな食卓のできごとで、ふと気づくものなんですね。責めずに、そっと寄り添っていけたらいいなと。

同じように、ご両親の「味、薄い」が気になっている方がいたら——大丈夫、あなただけじゃないですよ

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