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炊飯器を買い替えました。
新しいのは 象印の炎舞炊き NW-NB10。前に使っていたのは、SANYO(三洋電機)の圧力IH炊飯器で、14年使いました。
最初に正直なことを書いておきます。
買って2週間、いまのところ「前の炊飯器のほうがおいしかったな」と思っています。
6万4千円出して買ったのに、です。でも、それも含めて書いておこうと思います。同じように迷っている方には、そのほうが役に立つはずなので。

こちらが前の炊飯器。時計は17時52分を指しています。まずは、この子の話からさせてください。
14年目の朝、蓋のまわりから蒸気が出た
きっかけは、ある朝のことでした。
ごはんを炊いていると、蓋の周りから、しゅうしゅうと蒸気が漏れ出していたんです。
本来なら、蒸気は上の穴から出ます。それが、蓋の合わせ目からじわじわと。
これはやばいな、と思いました。圧力をかけて炊く機械なので、密閉できていないということですから。
コードと、時計 ― 14年分の「愛嬌」
思い返すと、サインはほかにもありました。
ひとつめ。コードが、最後まで戻らなくなっていた。
しまい込もうとしても、途中で止まってしまう。だらんと出たまま。
不便かというと、そうでもありません。使うときは結局出すのだから。でも、片づけようとするたびに「あぁ、そうやったな」と思う。人でいえば、背中が少し丸くなってきた、みたいなことでしょうか。
ふたつめ。時計が、ずれていた。
新しい炊飯器と並べて写真を撮って、気がつきました。

46分。いつの間にか、こんなに進んでいたんです。
毎日見ていたはずなのに、まったく気づいていませんでした。たぶん、少しずつ、少しずつずれていったんでしょうね。
蒸気が漏れて、コードが戻らなくて、時計もずれて。並べてみると、なかなかの状態です。でも、なんだか可愛くて、写真を撮ってしまいました。
これも愛嬌、ということで。
そもそも、この子はもらいものでした
ここで白状しておくと、この炊飯器、自分で選んで買ったものではありません。
14年前、家をオール電化にする工事をお願いしたときに、サービスでいただいたものでした。
正直、あまり期待していませんでした。おまけでもらう家電なんて、そんなにいいものではないだろうと思っていたんです。
それが、びっくりするほどおいしく炊けた。
あとから知ったのですが、当時としてはかなりいい機種だったようです。圧力IHで、炊き分けメニューもたくさんついていて。
期待していなかったぶん、うれしさが長く続きました。そのまま14年です。
SANYO ― もう、ないメーカーです
そして、買い替えを決めてから気づいたことがあります。
SANYOというメーカーは、もう存在しません。
調べてみると、パナソニックに完全子会社化されて、2012年3月にブランドが消えているのだそうです。1947年の創業から65年。修理や部品の供給も、2023年3月で完全に終了していました。
つまり、直すという選択肢は、そもそもなかったんです。
なくなったメーカーの機械が、14年間、毎日ごはんを炊き続けてくれていた。そう思うと、なんだか胸のあたりがきゅっとなりました。
しゃっきり派の私が、象印かタイガーかで迷った
さて、買い替えです。
私はもちもちしたごはんより、しゃっきりした(かための)ごはんが好きです。
ネットで調べていくと、メーカーごとに得意な炊き上がりが違うと書いてある。私の好みならタイガーのほうが合っているんじゃないか、という記事をいくつも見ました。
でも一方で、「おいしく炊けるのは象印」という声も多い。
散々迷って、象印の炎舞炊きにしました。決め手は、結局「おいしく炊けるらしい」でした。好みの方向は違うかもしれないけれど、炊き分けメニューで何とかなるだろう、と。
……この判断が正しかったかどうかは、正直まだ分かりません。後半で正直に書きます。
価格.comのメモを持って、ケーズデンキへ
買い方は書いておきます。ここは自信をもっておすすめできます。
やったのは、たったこれだけです。価格.comで最安値を調べて、スマホに見せられる形にして持って行く。

これをケーズデンキで見せて、相談しました。結果——
64,000円(税込)+ 5年保証
ネットの最安値より799円安くて、しかも保証が5年つきました。
家電はネットのほうが安い、と思い込んでいました。でも実際は、店頭で相談してみたら下回った。
しかも、ここが大事なところです。ネットで64,799円で買っても、メーカー保証は基本1年です。炊飯器は毎日使うもので、10年近く使う人も多い。その間の安心がついて、値段は店のほうが安い。もう比べるまでもありませんでした。
特別な交渉術は使っていません。「ネットではこの値段なんですけど」と見せただけです。言わなければ、そのままの値段で買っていました。
💡 家電を買うときのメモ
・価格.comの最安値を、スマホで見せられるようにして持って行く
・「ネットではこの値段でした」と伝えるだけでいい
・値段だけでなく、保証年数もセットで比べる(ここを忘れると損をします)
初日。息子が「前の方がおいしかったな」
新しい炊飯器が来て、さっそく炊きました。
最初はせっかくなので、もちもち系のメニューで。炎舞炊きの得意分野だろうと思って。
炊き上がって、食卓に出して。息子がひとくち食べて、言いました。
「前の方がおいしかったな」
……ちょっと待って。6万4千円したんですけど。
でも、責める気にはなりませんでした。私も同じことを思っていたからです。おいしくないわけじゃない。ただ、わが家の味ではなかった。
しゃっきり系に変えても、やっぱり前の味だった
翌日、しゃっきり系のメニューで炊いてみました。

炎舞炊きは、食感を5段階で選べます。
しゃっきり ― ややしゃっきり ― ふつう ― ややもちもち ― もちもち
前のSANYOは「ふつう/かため/やわらか」だったので、それよりずっと細かい。ここは新しい炊飯器の強みだと思いました。
私はしゃっきり派なので、いちばん端の「しゃっきり」を選べばいいはずです。設定としては、これが正解のはず。
でも――
やっぱり、前の炊飯器のほうがおいしいと感じました。
正直、ここで少し困りました。もちもちでもない、しゃっきりでもない。じゃあ何が足りないんだろう、と。
ひとつだけ、不思議なことがあります
ここで、思い出したことがあります。
いちばん最初に炊いた一回だけは、本当においしかったんです。
新品が届いて、さっそく炊いてみた、あの一回。私も「わ、おいしい」と思ったし、息子も「やっぱり美味しいな」と言っていました。
なのに、そのあとは何を試しても、前の味に届かない。もちもちでも、しゃっきりでも。
お米は同じです。農家さんから買った同じ玄米を、同じように精米して使っています。条件は変えていないのに、あの一回だけが違った。
いまだに理由が分かりません。炊いた量が多かったのか、水加減がたまたま合っていたのか。それとも、新品を初めて使う高揚感で、私の舌のほうが浮かれていたのか。
この謎が解けたら、また書きます。
「わが家炊き」を3回炊いたら、落ち着いた
炎舞炊きには「わが家炊き」というメニューがあります。
炊いたあとに、「かたさ」「粘り」の感想を入力すると、次の炊き方を調整してくれるという機能です。使う人の好みを覚えていく、という仕組みですね。
半信半疑でやってみました。3回炊いたところで、落ち着きました。
いまはこれで炊いています。かためで、粒が立っていて、パサついてはいない。

写真で見ると、なかなかおいしそうでしょう。実際、おいしいです。……ただ。
正直に言うと、まだ前の味が恋しいです
ここからが、この記事でいちばん書きたかったところです。
買って2週間。「わが家炊き」も3回まわして、いちおう落ち着いた。それでも、心のどこかで「前の炊飯器のほうがおいしかったな」と思っている自分がいます。
息子が初日に言った、あの一言。あれ、私もずっと思っているんです。
理由は、たぶん3つあると思っています
① まだ水加減のコツを掴めていない
炊飯器が変わると、同じ目盛りでも仕上がりが変わります。内釜の形も、火の入り方も違うのだから当然です。前の炊飯器では14年かけて掴んだ感覚を、まだこの子では持てていません。
② 舌が14年ぶんの味を覚えている
毎日食べていた味って、正解として体に入ってしまっています。少しでも違うと「なんか違う」と感じる。おいしくないのではなく、慣れていないだけという可能性は大いにあります。
③ そもそも、メーカーの得意分野が違うのかもしれない
これがいちばん引っかかっているところです。
買う前、「しゃっきり系が好きならタイガー」という情報を何度も見ました。それを分かったうえで象印にしたのは私です。でもいま、あのアドバイスは素直に聞いておいたほうがよかったのかもしれない、と思うことがあります。
炊き分けメニューで調整はできる。でも、メーカーが得意な方向というのは、やっぱりあるのかもしれません。
💡 これから買う方へ ― 私の正直な意見
「好みははっきりしているけれど、評判のいいメーカーも気になる」という方。私と同じ悩みだと思います。
私は評判を取りました。その結果が、いまのところこの状態です。好みがはっきりしている方は、素直にその方向が得意なメーカーを選ぶというのも、じゅうぶんありだと思います。
もちろん、私がまだ使いこなせていないだけの可能性もあります。だからこそ、ここは正直に書いておきます。
お米は、農家さんの玄米を10kgずつ
もうひとつ、条件として書いておきます。
わが家のお米は、農家さんから玄米で買って、食べるぶんだけ10kgずつ精米しています。
精米したてのお米は、水分の含み方が違います。同じ炊飯器でも、お米が違えば正解も変わる。ここも、水加減が難しい理由のひとつかもしれません。
玄米の保管には「玄米キーパー」を使っています
玄米で買うと必ず出てくるのが、保管どうするの問題です。
わが家は去年から「玄米キーパー」という袋を使っています。30kgの玄米袋をまるごと入れて、空気を抜いて閉じるタイプの保存袋です。
これを知ったのは、去年お米の値段がぐんと上がったときのことでした。
職場の後輩さんが「お米、どうしてます?」と困っていたので、私が買っている農家さんを紹介したんです。そうしたら今度はその子が、「こんなのがありますよ」と玄米キーパーを教えてくれた。調べものが得意な子で、そういうことをよく知っているんですよね。
お米屋さんはこちらが教えて、保管の方法はあちらが教えてくれて。ちょうど交換みたいになりました。
使い始めて、はっきり違いが出ました。入れていなかった頃より、おいしいんです。
玄米も生きものなので、空気に触れていると少しずつ酸化していきます。それを止めるだけで、こんなに変わるのかと思いました。虫よけにもなります。
しかも袋は繰り返し使えます。1年使いましたが、まだ現役です。消耗品だと思って買ったので、これは予想外でした。5枚入りを買って、1年で1枚も減っていません。
🍚 こんな方に
・玄米で買って、自分で精米している
・お米をまとめ買いするけれど、置き場所と鮮度が気になる
・夏場の虫が心配
🍚 玄米キーパー 30kg用(5枚入り)を見てみる(Amazon)
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正直なところも書いておくと、30kgの袋がまるごと入るので、それなりに場所を取ります。小分けにしたい方には向きません。あくまで「玄米をまとめて買って、少しずつ精米する」暮らし向けです。
炎舞炊きはメニューが本当にたくさんあって、まだ一通り試せていません。これから少しずつ食べ比べて、わが家の正解を探していこうと思っています。

そして、お別れの日
内釜を見ると、14年分の使用感があります。それでも、最後までちゃんと炊けていました。息子が「前の方がおいしかった」と言うくらいには。
回収に出す日、その話をしていたら、息子が言いました。
「ああ、これもまたお別れやな」
この子は昔から、車を買い替えるときも悲しい顔をする子でした。今回もそうでした。
「前の方がおいしかったな」と言った同じ口で、「お別れやな」と言う。私はちょっと笑ってしまって、それから、少しだけしんみりしました。
14年、ありがとう
ものを手放すとき、私はいつも少し感傷的になります。
炊飯器なんて、道具です。でも14年間、毎朝、毎晩、うちのごはんを炊いてきた道具です。子どもが育っていく時間を、ずっと台所で見ていた機械です。
メーカーはもうありません。直すこともできません。それでも最後まで、蒸気を漏らしながらごはんを炊いてくれました。
十分すぎるくらい、働いてくれました。
思えば、あの子はおまけでもらった、選んでもいない炊飯器でした。それが14年、わが家のごはんを炊き続けた。
一方、今回は散々調べて、迷って、6万4千円出して選びました。それでもまだ、あの味に届いていない。
そして今回も、よく考えたら第一候補を選んだわけではありません。好みだけで言えばタイガーのはずだったのに、迷った末に象印にしたのですから。
時間なんだろうな、と思います。
14年かけて、わが家はあの子の炊き方に慣れていった。この新しい子とも、これから少しずつ味を合わせていくんでしょう。「わが家炊き」という機能の名前は、案外そういうことなのかもしれません。
これから試してみること
というわけで、この記事は結論が出ていません。これから、こんなことを試していきます。
- 「わが家炊き」を使わず、標準メニューで炊いてみる(最初の一回がおいしかった理由を探る)
- 水加減を少しずつ変えてみる(新しい内釜に合う量を見つける)
- 炊く量を変えてみる(少なく炊くと味が落ちやすいので)
- まだ試していないメニューを一通り(鉄釜おこげ、熟成、冷凍ごはん……たくさんあります)
同じように「メーカーを変えたら味が変わった」と感じている方がいたら、いっしょに試している気分で読んでいただけたらうれしいです。
結果が出たら、この記事に追記していきます。
また何年か経って、「もうこの子じゃないと」と思う日が来たら、そのときにこの記事を読み返してみます。そう思える日が来ることを、いまは期待しています。
【追記】謎が解けたかもしれません(2026年8月18日)
記事を書いたあとも、ずっと引っかかっていました。「最初の一回だけ、どうしておいしかったんだろう」と。
そして、思い出したんです。
あのとき私は、何も設定をいじらず、ただ「ふつう」で炊いていました。
今朝、久しぶりに「ふつう」で炊いてみました。
……これでした。
いまのところ、これがいちばんおいしいです。しゃっきりでもなく、もちもちでもなく、わが家炊きでもなく。ただの「ふつう」。
たぶん、こういうことだと思います
メーカーによって、「ふつう」の位置が違うのではないでしょうか。
前のSANYOで私がずっと使っていた「かため」は、炎舞炊きでいえば「ふつう」くらいの硬さだったのかもしれません。同じ言葉でも、メーカーが変われば指している場所が変わる。
だとすると私は、好みより硬い方向へ、ずっと調整し続けていたことになります。「しゃっきり派だから」と思い込んでいたぶん、なおさらそちらへ寄せてしまった。「わが家炊き」で学習させたのも、その方向だったのでしょう。
遠ざかる方に、一生懸命チューニングしていたわけです。おかしいやら情けないやら。
これから買う方へ ― いちばんの近道
🍚 まず「ふつう」で炊いてみてください。
前の炊飯器の設定に合わせようとせず、いったん真ん中から始める。そこから好みに応じて動かす。
私は最初にそれをやっていたのに、「せっかく高いのを買ったんだから」と余計な設定をいじって、2週間も遠回りしました。
そして、象印を選んだことは間違いではなかったのかもしれません。
本文では「しゃっきり派なら素直にタイガーにすべきだったかも」と書きました。でも実際は、メーカーの問題ではなく、設定の探し方の問題だったようです。同じように迷っている方は、あまり深刻に考えなくていいのかもしれません。
もう少し炊いてみて、また変化があれば書き足します。


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